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オープンデータの利活用!サクッと祖母のQOLを爆上げしてみた

こんにちは、INV本部の中村です。

先日、地域の課題解決型ワークショップに参加し、
シビックテックオープンデータの活用という考え方を知りました。

日本では2012年頃からオープンデータの活用が進められ、
「2020年に自治体のオープンデータ化100%を目指す」といった動きがありましたが、
2021年7月時点ではまだ約66%(1,184件/1,788自治体)にとどまるようです。
参考:2021/9/9 yahooニュース「宝の山なのに… 自治体のオープンデータ化、進まない3つの理由」

一方で、行政の透明化、地域や社会課題の解決、新しいビジネスの創出等に繋がるなど、
オープンデータには大きな恩恵があることが注目されています。

私が参加した地域の課題解決型ワークショップでもこのような背景の中で、
「もっと市民がオープンデータを身近に感じて、利活用できるとよいよね」という話がありました。
持続可能な社会に向けた"SDGs"の取り組み、
その実現に向けたプロセスの1つである"ESG"、 少子高齢化対策や地方創生など・・・
未来のためにできることを1人1人が意識していく必要がある世の中で、
まずは自分の身近な「地域」でできることを考えたときに、
今後ますますオープンデータの価値は高まっていくと思いました。

それなら第一歩として、小さなことでもよいから自分でも何かやってみよう・・・!

ということで、今回はまずはオープンデータに触れるということを目的に、
日頃感じていた身近な課題をさくっと解決してみようと思います!

ちょっとした課題

80代の祖母が数年前に運転免許を返納して、バスを多く利用するようになりましたが、
「バスの乗り方が分からない」「バスのルートがわからない」等色々な課題が発生しました・・・。

また自治体が運営するコミュニティバスの場合、バス停がGoogle Map上に表示されないため、
「バス停がどこにあるかわからなくて乗るのも降りるのも不安だから乗りたくない」 という壁に直面。

たしかに自治体が提供する簡易マップはあるものの、詳細な場所までは分からないのです。
地図_余白

私「降りるバス停はたぶん〇〇通りのxx店の近くの、右側の道の橋の下だよ!」
祖母「・・・・?」
母「ほら・・バスがここを通ったら・・・ここ!ここで降りる!(地図を手書き)」
祖母「うーん、わからないからいいわ、いくのやめる。」
私&母「ええええええ!(;゚Д゚)(゚д゚;) せっかく時間をかけて教えてあげたのに!」

こんなことが何回も何回もありました。
というわけで、今回はオープンデータの位置情報を使って、
Google Mapでバス停を表示できるようにしてみようと思います。

1.オープンデータを取得

  1. まずは自治体のサイトからオープンデータをダウンロードします。
    オープンデータの入手方法ですが、特定の地域が決まっている場合は、
    Googleで「 xxxx(市区町村名) オープンデータ 」と検索すると、
    各都道府県や市区町村のサイトが出てきます。
    また、デジタル庁が運営する「データカタログサイト」ではデータの横断検索機能や、
    地方公共団体データベースサイト一覧もあるのでこちらで探すのもおすすめです。
    今回は住んでいる自治体のサイトから、コミュニティバス停一覧をダウンロードしました。

    提供されているデータには緯度・経度が書いてあるものとそうでないものがあります。
    今回入手したものはテキストデータでしたが、予め緯度・経度の情報がありました。
    txtデータ
    ※緯度・軽度情報があれば正確な場所が取れますが、住所情報でもOKです。

  2. 入手したテキストデータがカンマ区切り型のテキストデータだったので
    EXCELでカンマごとに別セルになるように整形します。
    このときに、なるべく列の項目名は日本語にしておくと後ほど2-3で取り込んだときに分かりやすいです。
    エクセル

  1. 後ほど2-5で地図に表示するときに、路線ごとに色分けできるようちょっとした工夫をしておきます。
    今回の場合は、データにあった「Zone_id」という項目の頭のアルファベットで路線の識別ができるため、
    そのアルファベットを抽出した列を新たに追加し「ゾーン」と名付けておきます。

準備はたったこれだけです!

2.Google マイマップ作成

  1. Google マイマップを開く
    https://www.google.co.jp/intl/ja/maps/about/mymaps/
    「新しい地図を作成」ボタンを押します。
    利用開始

  2. データを取り込む
    インポートをクリックし、先ほど「1.オープンデータを取得」で整形したエクセルデータを選択します。
    インポート

  3. 緯度経度情報を反映
    位置情報を紐づけるため、取り込んだ情報の緯度と経度の項目に✓を入れ、
    それぞれ適切なラジオボタンを選択し、「続行」をクリックします。
    緯度

  4. マーカータイトルを反映し、マップを表示
    バス停の名前としたい項目を設定し、「完了」をクリックします。
    マーカー
    そうすると、位置情報が反映されたマップが自動で完成します。 とっても簡単ですね!
    マップ1

  5. バス路線ごとに色分けをする
    もう一工夫を凝らします。
    さきほど2-3で追加した列の情報を用いて、バス路線ごとにアイコンを色分けします。
    「場所のグループ化方法」というのが「均一化スタイル」になっているので、
    「データ列別のスタイル」を、先ほど1-3で作っておいた「ゾーン」にします。
    ゾーンごと

    そうするとこのように、バスの路線ごとに色が変わります。
    色ごと

  6. バス停IDを表示する
    さらにもう一工夫を凝らします。
    「ラベルを設定」の項目で「バス停ID」を選択します。
    バス停ID

    そうすると、このようにバス停の横にバス停IDが表示されます。
    バス停ID_2

  7. バスマップのタイトルやバス停のアイコンを修正する
    より分かりやすく見やすいマップにするために、下記設定をします。
    ・マップのタイトルが無題の地図になっているので、分かりやすい名前へ変更します。
    ・バス停グループごとの名称やアイコンの色も変更できるので、
     公式の簡易マップと同じにすると祖母も喜びそうです。
    ・アイコンの絵はバスに変えます。 種類も豊富で驚きです。
    色とアイコン変更

    変更したらこのようになりました。イイ感じです♪
    完成

  8. URLで共有する
    Google Mapなら共有も簡単です。
    「共有」を押して、リンクをコピーしてお知らせしましょう。
    共有

祖母につかってもらった

ここまでさくっと15分です。
作ったものを早速共有して祖母のiPhoneで見てもらいましたが、
想像以上のリアクションをしてくれました。
「市役所の人に自慢しようかしら♪」とお出かけする気分にもなったようで、
やった甲斐がとてもありました(笑)

バス停はここ

私「〇番のバス停xxxはここだよ、帰りはここのバス停で乗ってね」
祖母「ああここならわかるわ♪」
公式の簡易マップ表と照らし合わせながら、
バス停の位置をストリートビューで説明できるので、とっても楽になりました。

まとめ

今回はオープンデータに触れてみたところで終わってしまいましたが、
今後は時刻表との連動やルートの明示などもう少し高度な機能も備えてみたいです。

生活のちょっとした不便やお困りごとを、このように自分で工夫して解決するというのは素晴らしいことだなと思いました。
みなさんも身近な課題解決の方法として、オープンデータの活用を頭の片隅にいれてみてください!

最後までお読みいただき、ありがとうございました。